高峰秀子が骨董屋だったころ

 南1西2のブックオフで105円で買った高峰秀子のエッセイ集「にんげん蚤の市」(1997年、文藝春秋刊)を読んでいたら、秀子さんが有楽町で骨董品店を開いていたと自ら書いています。へえ~。
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 きっかけは10代のころ、すでに大スターだったデコちゃんが路上でファンのラッシュに追いかけられて偶然逃げ込んだのが骨董品店。静かなたたずまいにオアシスを見つけた思い。それ以来、撮影の合間をみては赤坂、青山、銀座、上野と古美術店や古道具屋を歩き回った。そこで志野を、織部を、古染付を、李朝を知った。

 顔見知りの古美術ファンが自分の持つオフィスビルに手持ちのコレクションを飾ったらと奨め、そうすると売ってくれと言う人たちが現れ、開業することになった。


 「アネさん、開店するにゃ、第一に警察に申請しなくちゃならねえ。手続きいっさいはオイラがひきうけた」

 古物商や露店の鑑札から、商品の仕入れの手配まで、一切の助っ人役を引き受けてくれたのが、当時、西麻布で茶道具店を構える青年店主のセイちゃん。チャキチャキの江戸っ子。突然捕鯨船に乗り込んだり、せっかく修行した養子先の名門茶道具店を飛び出して鑑賞陶器にのめり込んだりの変わり種。

  しかしながら、所詮は大女優の商法、当然黒字になることなく4年間で閉店となる。その後のセイちゃんは本職の古美術、骨董業のほか、テレビ、ラジオ、講演、エッセイ執筆と八面六臂の活躍。

 高峰秀子にとってはセイちゃんはどんな古美術品よりもすばらしい人間の「掘り出し物」だったといいます。

  そのセイちゃんこそあの「なんでも鑑定団」でおなじみ、中島誠之助氏の若き日の姿です。「いい仕事してますねえ」のあの人。


 ところで高峰さん、古美術商になってから、人間を「もの」にたとえるおかしなクセがついたと書いています。それが面白い。
 
  志賀直哉        青磁(南宋)
  梅原龍三郎      大明万暦赤絵
  川口松太郎      古染付
  司馬遼太郎      李朝白磁
  松本清張        船箪笥
  成瀬巳喜男      黄瀬戸
  市川 昆        織部焼
  仲代達也       大名時計
  笠 智衆        埴輪
 
  幸田 文        花唐草
  杉村春子       染鍋
  水谷八重子      色鍋島
  森光子         タコ唐草
  美空ひばり      益子焼
  越路吹雪       ボヘミアングラス
  泡沫タレント     ベロ藍
  高峰秀子      むぎわら手


   骨董、古美術の智識のないキタにはどんな品なのかほとんどわかりませんが、笠智衆=埴輪はわかります。入れ歯をはずした時の笠さんの顔、埴輪の手触り、優しさがぴったり。越路吹雪のボヘミアングラスもね。

  高峰秀子の目利きはただものではありません。

  ちなみに、キタの好きなテレビ番組のひとつが、いまも「なんでも鑑定団」です。

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