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zoom RSS 記者1年生のちいさま特ダネ

<<   作成日時 : 2015/01/14 17:24   >>

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 いわゆる特ダネ記者ではなかったし、名文家でもなかった。平凡な記者だったと、自己総括した。その中で、あれはいなか町のいい話題を掘り起こした記者生活最初のちいさな特ダネだったなあ、と思い出す記事がある。

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1972年、記者生活最初の特ダネとうぬぼれる「礼文の絵凧」の記念品、2枚の武者絵凧
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凧の裏、中心を通る骨には「礼文島香深 三上豊造作」の銘がある

 1972年、最初の任地、稚内支局は本島側の稚内、猿払の1市1村の他に、利尻・礼文2島の礼文、東利尻、利尻の3町を受け持っていた。

 利尻、礼文島へは海がシケない、夏場だけ、稚内支局の若手記者2人が交代で一島ずつ1泊出張し、島じゅうを駆けまわってひまネタ(掲載を急がない記事)をかき集めてくる。とにかく写真を沢山とって、基本取材をし、詳細な取材は稚内に帰ってから電話でもできる。

 初めてのお使いならぬ、初めての離島出張は利尻でなく、礼文だった。

 礼文町役場から徒歩数分の香深(かふか)地区に、おもしろいおじいさんがいる、と小耳にはさんだ。ちいさな磯舟を操ってウニや昆布、エビなどをとる沿岸漁師で80数歳になる三上豊造さん。津軽から渡ってきた2代目だといったか。

 この豊造じいさん、何十年も前から、冬の漁閑期などに、故郷のねぶた絵を描いた凧を作るのを趣味に、作っては子供たちにプレゼントし、一緒に凧上げして遊ばせているという。

 お宅を訪ねてみると、にこにことしながら、作品を見せてくれた。大阪から北海道に来たばかりで青森のねぶたも満足に知らなかったが、あとで本家の役者絵と照合してみると、たしかに豊造じいさんの凧は津軽のものだった。

 「絵の具は、わざわざ凧を描くために買うのですか」と聞くと、そうではなく、採った利尻昆布の等級を示すために使う顔料を漁協から分けてもらって使っている、と礼吉じいさんが柔和な笑顔で答えてくれたのを憶えている。

 おじいさんが手にする凧の絵がなぜか素朴な味わいを感じさせるのは、島のふだんの生活の中で生みだされたものだからなのだと、納得がいった。

 季節は多分7月ごろ。もう凧絵を描く季節ではなかったので、居間に手持ちの凧を並べてもらい、にっこり笑う豊造じいさんをニコマート(当時、新人記者は会社の斡旋で無利子の月賦払いで買わされた)におさめた。


 大阪ものには、離島で見かけるものはみな珍しい。取材はそこそこに、写真を撮りまくって翌日、離島連絡船で稚内に帰った。あとはメモ帖を見、取材不足は宗谷支庁の記者クラブから現地に電話を掛けまくって、仕込んだタネが尽きるまで毎日、稚内発のクレジット礼文―【礼文】で書き始める記事が地方版(留萌・宗谷版といいました)に掲載された。

 その【礼文】の記事のなかでも、豊造じいさんの物語は、小さな範囲の留萌・宗谷版(見開きの右側)でなく、左側の広域版(留萌・宗谷だけでなく、旭川、上川、北見・網走をエリアとする)のトップ記事になった。

 いまなら、簡単に書き上げられるストーリーですが、入社3か月の新人は苦心惨憺、夜遅くまでかかって書きあげたもの。しかも、支局長のデスクの手が入ると、筆者の書いたものの痕跡をとどめぬものになっていたかもしれないが、紙面になってしまえば、やはり「キタが書いた記事」に違いない割り切るのが常。

 記事を何度も読み返し、人がいないと、「いい記事だ」と何度もつぶやいたものでした。事実、いつもは厳しい支局長もデスクをしながら、「よし、いい原稿だ」とほめてくれた。

 42年前のあの記事、というより、あの写真、いまでも目に浮かぶが、地方版を含めたすべての掲載記事がデータベース化されたのはずっと跡になってから。スクラップブックに張り付けてあったが、古いスクラップブック自体散逸してしまった。見出しは忘れてしまったが、わき見出しに「昆布漁の顔料使って」といった文言もあったはず。
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我が家の居間には凧コーナーがあります。中央の武者絵は新潟にいったとき、長男の嫁のお父さんからいただいたもの
 

でも、取材したあと、いただいた凧2枚は新聞社生活13回の転勤でもちゃあんと生き残り、いま、我が家の居間に年がら年中飾ってある。

 私の宝ものです。

 

 


 

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Kita, WHO?

1948年大阪生まれ。元北海道新聞記者。11年3月から13年3月まで、JICAシニアボランティアとしてモンゴル国立農大(ХААИС)ダルハン校でエコツーリズムと基礎日本語を教えた。趣味は渓流釣り、映画、クラシック音楽鑑賞、漢字書道。書号は景泉 にほんブログ村 海外生活ブログ モンゴル情報へ
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