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zoom RSS 筆が滑った浅田次郎さんと、函館朝市の対応

<<   作成日時 : 2010/01/19 19:13   >>

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 18日の道新朝刊第2社会面のトップに、直木賞作家の浅田次郎さんがJAL機内誌12月号に書いたエッセーに事実誤認があると、函館朝市の組合組織が抗議したという記事が出ていました。浅田さんも一部に誇張があったと非を認めている。ことの発端は朝市の中のある店が送ったタラバガニと毛ガニが浅田さんの期待を大きく裏切るものだったことから始まったらしい。おなじようなことを昔経験したキタには、朝市側の対応がベストだったとはどうも思えない。


<まど>ホッケの開き  
  「ええっ、これが千円?」。お盆で運ばれてきた貧弱なホッケの開きを見て、札幌市南区の主婦、A子さん(42)は落胆のあまり絶句した。体育の日と日曜が重なった連休、観光客でごった返す函館朝市の食堂での出来事だった。
 「日替わり定食」を注文して出てきたのは、ホッケとみそ汁、それにイカの足の煮付け少々。身が薄く脂の乗らないホッケは、焼き過ぎてパサパサ。Aさんは三口ほど手をつけただけではしを置いてしまった。
 「こっちは脂身ばかりじゃないか…」。テーブルの向こう側では、「サケのハラス定食」を食べている夫もいまいましそう。
 夫と二人で「道南味と温泉の旅」に出たA子さんは自称B級グルメ。函館朝市の安くて新鮮な海の幸を何よりの楽しみにしていたが、裏切られた思いだった。
 宝石をちりばめたような函館山からの夜景、松前城の静かなたたずまい、ニセコ温泉郷の紅葉−。八百キロを超す二泊三日のドライブは申し分なかった。
 ただ一つ「朝市」を除いて。
 「あんな店、例外なのでしょうが、本州客にとって朝市は函館ばかりか北海道の“顔”。もっと誇りをもってほしい」。そういうA子さんは事前に「いい店」情報を仕入れておかなかったことをいま、大いに悔やんでいる。


 以上はキタが1993年秋、道新夕刊コラム「まど」に書いた一文です。実は南区の主婦A子さんは家内。その夫とはキタです。 ほんとにひどいローソクぼっけだったんですから。

 そのとき思ったのは「東京や大阪あたりから来た観光客なら、ダイエットしすぎのホッケも脂ギトギトのハラスにもそんなものかと思って食べるかもしれないが、こちとら、札幌でもプリプリのホッケを食べてんだい」(なんで江戸っ子弁になるねん)。もちろんそんなこと書けませんでしたが。

 最近、ホッケも全国区になって、大阪の居酒屋でも立派な釣りぼっけの開きがでてくるらしい。いくら本州客でもあの17年前のホッケが出たなら怒り出すし、今の朝市なら出すこともないでしょう。

 話を浅田エッセイに戻します。
 作者には北海道を舞台にした優れた作品があるから取材に何度も北海道を訪れているはず。だから北海道のかににもひとかどの見識があるはずです。その人が「な、なんだこれは」と思い、さらに、「あの函館朝市がこんな粗悪品を送ってくるはずがない。朝市を名乗る詐欺に違いない」と早とちりしたのかもしれません。

  筆が滑って「個人情報が流出したとしか考えられない」と朝市側の顧客情報の管理を疑問視する一文も載せたから、朝市側も黙ってはいられなくなり、事実関係を調べたのでしょう。

 でも、朝市側に考えてもらいたいことがあります。浅田さんが誇張して書いたことを認めさせても、朝市から出た商品が大事な顧客を失望させたという事実はぬぐえない、ということを。

 底意地の悪いキタが浅田さんなら、言葉では不明をわびながらも「もう函館朝市なんかに行くものか。いや函館なんかにいくものか。いや北海道なんかに…」となりかねません。

 キタが朝市のお偉いさんだったら浅田さんのエッセイを読んだ後、事実を調べた上で「先生、大変不快な思いをおかけしました。これが北海道のかにです」とプロが目利きした上物を送るなあ。「いい加減なことを書きやがって」とはらわたが煮えくり返っていたとしてもぐっと我慢です。

 そうしたら、その粋な対応ぶりを文章の達人(浅田さんの短編人情話は臭いなあと思うときもあるけど、無駄がなく、本当にうまい。「蒼穹の昴」のような長編もよいが短編は当代有数の手練れです)が函館朝市を富士山くらいに持ち上げてPRしてくれたかもしれません。

 余談ですが、薄っぺらい文庫本の短編集「鉄道員」(ぽっぽや)のなかから、表題作のほか、「ラブレター」、「オリオン座からの招待状」の3篇が映画化されています。こんな作家ほかにいません。

 
 それにしても浅田先生、朝市を真正面から傷つけることなくうまく書けなかったのでしょうか。先生の筆力からすれば「ちょちょいのちょいやで」。惜しい。

道新の今朝の記事も、両者のやり取りのあやをうまく書けたらよかったけど、残念ながら直球一本槍で惜しい。

函館朝市の対応には「いきり立たずに、損して得取ればよかったのに」。これが一番惜しい。

◆◇◇◇◆
 上の文章は昨日18日に書いたものです。アップしようと思ったら、このブログのインフラを提供してくれているBIGLOBEがメンテのため今日の午後1時まで管理ページに入れませんでした。そこできょうコピーを取り寄せて浅田さんのエッセイを精査してみました。

 読んでみて、浅田さんは頭から「函館朝市」を騙る詐欺と信じ込んでおり、朝市には全く悪意を持っていないし、非難をしていないことがわかりました。昨日、原典を読まずに書いた文章にある「朝市を真正面から傷つけるような」表現は全くありませんでした。朝市を騙る詐欺と思い込ませる状況があったようです。発送した店の電話にかけ直したら使われていない番号だったとか。はや呑み込みという軽率のそしりは免れないにせよです。
 
 でも「たしかに朝市の店から送った商品であり、浅田さんの指摘は事実誤認」と抗議すると、こんどは品質に対する浅田さんのコンプレイン(苦情)にどう答えるのか、という問題が出てくるはず。浅田さんはそれも誇張だったと認めているのでしょうか。

 朝市側の調査は商品の品質、チルドの状態がどうだったかにも及んだのか。新聞ではその点がわかりません。調査すべきはこちらがまず第一ではないか。

 いずれにせよ、ここは抗議という豪速球を浅田さん側に投げ込まずに涼しい顔で変化球を投げて打ち取るべきだったというキタの昨日の直感は、きょうエッセイを読んだあとも変わりませんでした。





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Kita, WHO?

1948年大阪生まれ。元北海道新聞記者。11年3月から13年3月まで、JICAシニアボランティアとしてモンゴル国立農大(ХААИС)ダルハン校でエコツーリズムと基礎日本語を教えた。趣味は渓流釣り、映画、クラシック音楽鑑賞、漢字書道。書号は景泉 にほんブログ村 海外生活ブログ モンゴル情報へ
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